昨日のJaSPCANのミニシンポでは大阪市の児相で実施している3つのグループが登場しました。男親塾、MY TREE、SEPです。そこでそれぞれのグループ紹介をしたのですが、私が感じたことを書いておきます。私は一枚目のスライドにこう記述しました。

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●SEPの目的・・・支援の「きっかけ」をつくる

従来の心理的支援になじまない人もいる。たとえば、

 

「心の中に入ってきてほしくない」
「自分に何があったかを開示したくない」
「語れない、語りたくない」

「他の参加者と話したくない」
「心理カウンセラーは明日からどうすればいいかを言ってくれない」
「カウンセリングは長期間かかるし、高い」
「難しい話はイヤ。早く効果を実感したい」
「自分のために長く時間をとってもらうのは申し訳ない」
「薬は飲みたくない」

 

→ 多様なニーズに応えるため、短期間のグループ・プログラムで、回復へ
の動機を高める(そのあと、多様なコースに向かう)

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これまで児相などが中心になって導入してきたプログラムは、あまりに丁寧で構造的なプログラムなんですね。こういうプログラムは当然お金も時間も手間もかかります。そのわりに効果も不明です。すると、前述したヘソ曲がりでせっかちなクライアントは嫌がります、抵抗します(実際、こういう人のほうが多いから虐待するんでしょ?)。

白黒思考と勝ち負けの世界に生きてきた文化が違う人に、最初から100%を目指したらダメなんです。まずは入口で「変われるよ。変わる方法はあるよ」とチラリと体験させればいいのです。参加してみたら「ほんまや」と食いついてくる人は少なくないのです。それが昨日見せたデータです(一要因参加者内の分散分析)。自尊感情の回復もさることながら、無力感の回復がハンパなかったでしょう。誰でも変わりたいのに、その具体的方法を提示する側が、門戸を間口を選択肢を狭めているんです。ハードルが高すぎるんです。

 

私だって問題だらけだったのに、「人に相談するなんて、まっぴらごめん」の人でしたから、一度も精神科や相談機関に行ったことはありませんでした。どこにも相談に行かない人が7割、の理由はよくわかるわけです。じゃあ、回復したいと思っていなかったのかと言うと、違うんですね。何か方法はないか、と図書館通いをして必死で本を読みあさっていたわけです。いろんな宗教にも誘われました(どれも違いました)。

でも、当事者が書いた回復メソッドの本なんか、当時ありませんでしたから、「どうしたらいいんだ」と絶望的になっていました。で、結局、自己流の回復トレーニングを自分でつくって、やってました(それが認知行動的アプローチ)。

結果、それで回復できたものだから(だよね?)、こうした侵襲的でない(心の中まで探らない)、基礎的で簡単で短期の「学習プログラム」ならみんな抵抗なく受講できるんじゃないか、でも無いよね、じゃ、つくろうよ、研究だ、と大学院に入ったわけです。

 

その意味で、昨日も言いましたが、「自尊感情」などという、誰にでも広く受講可能なネーミングであれば、虐待の「予防」にも有効なんですね。「虐待」なんて言葉ひとことも出てこないプログラムだから。改正児童福祉法で妊娠期から子育て気期までの切れ目ない支援を提供する「子育て世代包括支援センター」の設置が努力義務となったようですが、全国296の市町村のセンターで、ちょっと気になる妊婦さんにSEPを提供しておけば、産まれてからの虐待はかなりの確率で抑止できると私は確信します(実際、私は今年の春、「SEPは母子保健施策でやらないと」と、企画を児相に提出していたので)。

 

昨日の私どものミニ・シンポには、内閣官房内閣審議官や理化学研究所の研究者など、虐待予防施策を牽引する立場の女性たちが見えていた。当事者が発信した「はやい、やすい、うまい」プログラムSEPを社会の適正化のために広く頒布するぞ、と決心してください。そのためならなんでもやりますので。ほんまです(笑)。私はそのために生まれてきたと思っているし、私の厳しかった半生はそのためにあったと思っています。

国に言いますよ。もう、十分待ったでしょう。これから何人のこどもが犠牲になれば、本気を出すんです? 親を非難しても何も変わらないどころか被害は大きくなりますよ。とにかく親支援の体制を急ピッチで整備してください。

まあ、このチャンスを活かさず、今後も虐待死するこどもの報道にため息をつき続けるだけであれば、日本という島はいずれ滅ぶだけ。私はその頃はもういないと思いますがね。