NGOスタッフからの手紙


フィリピンで貧困層の支援をつづけるNGOのスタッフから手紙が届いた。

数年前、私は子どもたち2人を連れてフィリピンへ飛んだ。
女性の自立をテーマに講演し、あとはほぼ連日、スラム街を歩き回り、
息ができないほどの悪臭に満ちたゴミの山で生計を立てる人々と話した。
そこで、両親が働いていないために小学校へ通えない女の子に出会った。
私はその子の就学を日本からの送金という形で援助することを約束した。

小学校の教師たちさえ給与が保障されないという凄まじい貧困の現実や、金持ちの娘しか通えない職業訓練校を見学し、フィリピン政府の怠惰と無能を呪って帰った。
その時、ちょっとだけ希望をくれたのは、まだ若きNGOスタッフたちの存在と出会い。
そんな彼女からのメッセージ、匿名で紹介させてください。
「ありがとう」に代えて。
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藤木様

こんにちは。今年も○○ちゃんの支援、ありがとうございます。

さて、先日、図書館で藤木さんの本「我慢するのはもう、イヤだ」を手にとりました。
フィリピンで少しお話には聞いていましたが、藤木さんの経験、そしてこれまでに至った経緯や思いを知り、とても感動し、何とも表現しがたい気持ちになりました。

日本にも、フィリピンにも、たぶんどこの国でも多かれ少なかれ、家庭内の虐待やレイプ、暴力は存在するのに、目に見えず、その分、傷を抱えたままの人がたくさんいるのだと実感させられました。

フィリピンで私は実父にレイプされた女の子たちの存在を見聞きしました。そういったケースを特別にケアしているNGOに出会えた子もいれば、父親を排除したあとの心のケアが十分に行えないようなケースもありました。

私は難しいことはわかりませんが、誰だってたくさんの能力、可能性を持っているし、それを伸ばす機会さえあれば幸せになれるように思います。そんな中での暴力が可能性を封じ込めてしまっていると思います(貧困という暴力も含め)。

なんだかとりとめのないお手紙になってしまいましたが・・・藤木さんのメッセージは、たくさんの人々の封じ込められていた可能性を解放するものだと思います。
長々と失礼いたしました。どうか、お元気で。