ココロを仕事にするということ
ゴールデンウイーク中は認知行動療法の研修会に出ていました
予想されたことですが、参加者は医師と臨床心理士などの医療系が中心
そこへ私のような、更生・福祉系がちょっと混じっています
今回は、アメリカから認知行動療法の第一人者である博士をお招きしての
二日間にわたる勉強会でした
たくさん来ていたなあ
300人は入っていたのでは?
ウツ病が増えていることもあり、
ウツに今、もっとも効果があるといわれている認知療法は大人気
でも、医師がこれをやるのは時間的に無理があるから、
どんなものかちょっと覗いておこう、といったところか
真剣にテクニックをマスターしようと来ているのは心理士の方だろう
これ系の研修会の特徴は、
まず受付で「藤木先生ですね」と、「先生」扱いされること
仕事先で先生と呼ばれることは少なくないが、まだ慣れなくてムズムズする
2人づつペアになってのロールプレイが何度もありました
私の相手はたまたま毎回20歳代の男性
大学院を出て4年目くらいの心理士で、
勤め先は心療内科だったり、大学病院だったり
ひとりが患者、もうひとりが治療者の役をする
感想として、この若き「先生」たちへの感想は「ソツがない」
質問紙の取り扱いにも慣れているし、
患者の回答を引き出す術に長けている
聞けば、患者ひとりに費やす時間は30分という
医師の3分に比べれば長いのだが、
私が一回90分かけているのとは段違い
そうか、30分でなんとか治療効果を高め、たくさんの患者をこなそうと思えば、
必ず宿題をだして、自宅で記入してきてもらうことは欠かせないだろう
いつも現場での対話中心でやってきた私に、彼らは
「フォーマット使ったほうがラクですよ」
と、こともなげに言う
ラクか、そうか
そうだなあ
仕事は少しでも楽なほうがいいよなあ
うーん
でもさ、私がふだん相手にしてる人たちは
刑務所出た人やホームレスたちで、
字なんか読めない人や、難しい言葉は無理な人が大半でね
こうこうやり方は無理だなあ
まず、プログラムに来てもらうことが大仕事なんで(笑)
帰りに名刺交換した
私の名刺を見たくだんの彼は、
「あ、博士ですか。僕も博士号とろうと思ってるんですよね」
自信まんまん
修士じゃないんだよ、博士号はたいへんなんだよ、
そう言いたい気持ちを抑えて私はニッコリ
ま、院でて数年の彼には、何の挫折もつまづきもないだろう
金もってる人だけしか相手にしない、病院という守られた空間の中でね
給与も毎月振り込まれるだろうしね
余裕だね(うらやましい・・・笑)
だけどさ
仕事や家族、自分との葛藤に疲れ果て、
ココロを病んだクライアントたちが、最後に相談室にたどりついたとき、
そこに白衣を着た、あの若きイケメンが微笑んで座っていたら、
そして<活動予定表>や<思考記録表>に記入してくることを求められたら、
どんな感じがするだろう
私はイヤかな
彼に自分のつらさは話せないかもしれない
「銀座の母」のほうがよかったりして(笑)
え、研修ですか?
高かったけど 私はやっぱり私のやり方でいくだろう
これからも誰からも相手にされない人たちに向き合っていく
彼ら、彼女らといっしょにいるとき、私は一番パワーが出る
世間から注目されることもないだろうし、
金持ちになることもなさそうだけど
それが私の社会改革なんだろう