先日の朝日放送のラジオ出演
7月4日に藤木が出演したABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」ですが、遠方で聞けなかったというお声もありましたので、こちらで内容の一部をご紹介させていただきます。(以下、やり取りの一部を抜粋、要約)
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※「道」:道上さんの発言、「藤」:藤木の発言
道:先週は理化学研究所の黒田公美リーダーに出演いただき、脳科学の視点から親子の虐待を考える話をしていただいた。その理化学研究所のHPにも紹介されているプログラム「SEP」を実施している大阪のWANA関西代表藤木美奈子さんに来ていただいた。
道:ご自身も虐待を受けた経験が?
藤:残念ながら。虐待にも身体的、心理的…など種類がありますが。私の場合は18歳の未婚のシングルマザーの母親から生まれ、夫もいない、お金も家も仕事も無いという「無い無い尽くし」。母親のパートナーが何度も変わる中で、自分も虐待を受けたし、母が暴力を受ける姿を見る、面前DVもありました。
道:子ども時代、一番大変だったのは?
藤:性的な暴力もあったが、相談する先も分からないし、言ったところで分かってもらえない中で、いつしか「大人には話してもムダなんだな」と諦めていきました。私の場合は、誰かに助けてもらって変わるという体験は無く、高校卒業後、「結婚」という形で家を出ましたが、その結婚相手もDV夫で、26、7歳まで暴力にまみれた生活を送りました。
道:どのような経緯で「SEP(自尊感情回復プログラム)」を?
藤:元夫と離別した後も心の傷に苦しんでいたのですが、そんな中、刑務所で勤務していた時の経験を本に書いたところ、メディア取材や講演依頼を受けるように。そこから自分の社会での役割を考えるようになり、現在やっているような活動につながっています。
道:刑務官時代、虐待で服役している人も見てきた?
藤:いました。ただ女性の場合は、男性に支配されて犯行に及ぶというのが多かったように思います。男性に逆らえず最終的に虐待死させてしまったり、あるいは、シングルマザーで経済的にも精神的にも追い詰められて子どもの命を絶ってしまうというような。私の母親自身も子ども時代に十分に愛されたり、きちんとした養育をしてもらっていなかったので、私に対してもどう関われば良いか分からなかった。子どものことが憎いというよりも、精神的に不安定なことで、育児に様々な問題が生じるのだと思います。
道:虐待をなくすためには親もサポートすることが大事。SEP(自尊感情回復プログラム)とはどんなもの?
藤:主に親などが原因でたくさんしてきたつらい体験(=「育ちの傷」)があると、「どうせ無理」「自分なんかダメ!」と物事を否定的に考える習慣がつきます。そのため、すぐにカッとなったり、落ち込んだり、人間関係が苦手、というような問題が起きてきます。SEPはそのような自分を「しんどくさせる考え方」ではなく、「ラクになる考え方」を選ぶ習慣を身につけるプログラムです。
道:具体的にはどんなことを?
藤:5人ぐらいのグループで、心理学習といって「自分はなぜこんなにしんどいのか?」「子どもの時の経験とどう関係しているのか?」というような勉強をしてから、具体的な例を使って考え方を変える練習をし、「自分のせいではない」と考えるクセをつけて、日常生活でも物事を悪いように受け取らないようになることを目指します。(変化は?)もちろん全員ではないが、変わっていく人がとても多いし、5回程度の参加で終わるので参加しやすいです。変化されるのはこちらも嬉しいし、本人もラクになったり、子どもとの関係も大きく変わるのを喜ばれます。
道:著書のタイトルについて。親に壊された心を治すのは決して容易ではない?
藤:周りが想像するよりも深いし、長くかかるし、一生癒えない人もいます。言えるのは「ほっといても治らない」ということ。SEPのようなプログラムも活用してもらえたら。
道:親子関係で問題が起きてしまう一番の原因は何だと考える?
藤:親自身が自分の成功体験を強く信じて子どもを管理しようとするような親、自分が適切な養育を受けてきていないので子どもにもどう接したらいいか分からず不適切な関わりをする親など両極あるが、どちらも「育ちの傷」と言えるし、どちらも家族関係に問題を生じさせる問題になり得ます。
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現在、ラジオでも紹介した通常の「SEP」の他、遠方にお住いの方向けに来所回数をグッと抑えた「SEP特別集中コース」も参加者を募集しています。詳しくはSEP研究所HPをご覧ください。https://seplabo.com/supporter/
朝日放送の番組HPでは、この放送回の写真も紹介されています^^