作家 山本兼一さん、死去

山本兼一さんが亡くなった。
好きな作家だった渡辺淳一さんが亡くなってその記事を読んでいたら、その下にこの訃報を見つけた。
びっくり! まだ50代やで? 一瞬、目を疑ったよ。
彼とは10年前に梅田や天王寺で一緒に呑んだ仲。
知り合ったのは、作家のヤンソギルさんと鶴橋で焼き肉を食べた時。
2人とも、いいところまで行ってたけど、まだまだ売れていない作家同士として。
そのあと写真を送ってくれた縁で、時々会って、おでんをつつきながら、いろいろ話した。
「藤木さんは一度DVについて真正面から向き合って書かないといけない」
山本さんの言葉は私の胸の隅にずっとひっかかっていた。
あれから私は大学の先生になって、本を書くことから離れて、
そして今、ようやくその本を書いている。
書き始めるまでに10年かかってしまった。
刊行予定は2015年初旬。それができたら連絡しようと思っていたのに。
出会ったときは私の方がたくさん本を出していたけど、
結果、あなたのほうがずっと高名な作家になった。
当然だよね。本当に本が好きだったのはあなたの方だったもの。
ビールグラス片手に、大学の先生をしておられた父親の話をしてくれた。
遺産となった歴史書を捨てずに紐解き、立派な歴史ものを書き上げた経緯や、
お互い、ゴーストライターをしていた時の苦労話もね。
あの天王寺の立ち飲み屋にもう一緒に行けないのは寂しいけど、
まあ、良い人生を送られたのでは。
山本さん、どこかで再会したら、一杯呑もう。
またワリカンでね。

「利休にたずねよ」 直木賞作家の山本兼一さん死去

 小説「利休にたずねよ」の作者として知られる直木賞作家の山本兼一(やまもと・けんいち)さんが13日、肺腺がんのため死去した。57歳だった。通夜は15日午後7時、葬儀・告別式は16日午後1時、京都市北区紫野宮西町34、公益社北ブライトホールで行われる。喪主は妻の英子(ひでこ)さん。

 京都市に生まれ、同志社大を卒業後、出版社勤務などを経て、平成14年に「戦国秘録 白鷹伝」でデビュー。16年に「火天の城」で松本清張賞、21年に「利休にたずねよ」で第140回直木賞を受賞した。

 タカ匠や大工など、技術者の情熱を詳細な取材に基づいて描いた作品が高く評価され、映画化もされた。昨年末から公開されている市川海老蔵さん主演の映画「利休にたずねよ」は、カナダ・モントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞した。