「結婚から逃げ出す男たち」。人生には何が起きるかわからない


「アメリカン・マーダー: 一家殺害事件の実録(2020年製作:American Murder: The Family Next Door)」という映画を観た。ストーリーをひと言で表すと「若い女に狂ったバカ男が犯した、決して許されない家族殺人の詳細をつづった記録映画」と、どこに書いてあった。

再現した映画ではなく、ドキュメンタリーである。詳しい内容は別の方が書いておられるので、ここでは割愛するが(https://www.tadamonkugaiitakute.com/40669.html)、よくこんな映像が取れたなと思うほど、制作に警察が協力しているところが隠ぺい体質の日本との違いを感じる。

友人女性と議論したのは、「なぜ彼は家族を殺したのか」。もちろん「若い女性に狂った」といえばそこまでだが、私は人間はそれほどに単純とは思わない。なぜなら私は仕事がら、「結婚から逃げ出した」数々の男たちの存在を知っているからだ。

別の女との出会いはきっかけにはなる。しかし、「性欲がすべて」論には私は賛成できない。つまり、人によっては、「家庭」というひとつの鎖に延々と繋がれることへの「絶望」にかられ、すべてを「リセット」してしまうことがある、と私は考えるのだ。本人がそれをわかっているかどうかは別だ。

結婚に憧れるのはいい。しかし、一方で「制度」は人間の本質である自由を奪うためにある。その意味では私はこの映画の夫を根っからの悪人だと思えない。