はなマルあげます


DVサバイバー再生塾、塾生のKさんが、
今日連続講座の最終日を迎えた
彼女と出会ったのは2007年
あれから1年半
本当によくがんばった
彼女の母親は立派な共依存
DV夫の父親に尽くしてきた
だから彼女もつねに人目を気にして、いつも笑顔をつくり、
誰からも好かれることを大切として生きてきた
そうして彼女は人の要求を断ったり、
毅然とした態度をとったり、
しっかりと意見することができなくなった
その結果がこれ
夫の身勝手にふりまわされ、暴力を受けつづけ、
3人の子どもを連れて逃げだした
施設にたどりついたとき、ひとりはまだお腹の中にいた
施設に入ってからは鬱病と診断された
つねに携帯電話で知人にメールを送りつづけ、
酒や精神安定剤に頼りつづけた
そんな彼女の眼の前にある日突然現れた私
「藤木式SSTを受けませんか。変われますよ」
そうか、変われるのか
聞いたとたん、これだ、という確信を持ったという
それから彼女は一目散に私のもとへやってきた
寒い日も雨の日も自転車で通いつづけた彼女は
またたくまに認知行動療法をマスターした
ある日思いがけず私に言われた
「もう薬やめたら」
帰り道、心臓がドキドキと高鳴った
薬と離れるのはとても怖かった
「でも、やめられました」
思わず笑顔
批判があることは承知、
でも私は、認知療法が進んで、
もう薬なしでもやっていけると思った人にはいつもそう言う
薬ではなく、自分で考えを修正して、感情をコントロールするんだ
服薬期間や量によっては、とても苦しい思いをする人もいる
でも、最後には薬とお別れする
そして、もとの自分を、本当の自分を取り返す
「先生、私ね、この頃、人前で無理に笑顔つくるのやめたんです」
化粧気のない顔でKさんが言う
以前はお化粧なしで人前で出るなんて考えられなかったのに
それでも充分美人だよ
「また来ていいですか」
靴を履くKさんの背中がちょっと寂しそう
「もちろん。ときどき心のマッサージしにおいで」
子ども時代からの長い摂食障害も越えて、
よくがんばって生きてきたね
しんどい時は連絡していいから
これからひとりで3人の子どもを育てるのは簡単じゃないけど、
強いお母さんになるために大切なことはみんなあなたに伝えたよ
もう人に振り回される人生は繰り返さないと信じてる
いつか素敵な看護師さんに戻るんだよ