「家裁の人」は実在するか


作家の毛利 甚八もうり じんぱち)さんのお話を聴く機会があった。
彼は「家栽の人」(小学館)などの漫画原作作品で人気作家となり、
最近は、ドラマ「裁判員になりました-お茶の間の向こう側-」の脚本を担当するなど、
各方面で活躍されている

場所は、元裁判官のI先生のご自宅だったが、
彼をひと目見ようとする人で、先生の仕事場はいっぱいになってしまった
いつもテーブル代わりにしている卓球台をその日は半分にしてもまだ空間が足りず、
先生が座席なしで床に座り込んでいたほどだった
私はこの勉強会が好きで(I先生のファンでもあり)一昨年ごろから通いつめている

その日のテーマは
「少年院における矯正教育を軸に非行少年の社会復帰を考える」だった
彼はとても作家らしい人で、自分が話すより、人の話を聴きたがった
つまりつねに取材をしている、次のネタを探している人だった
自分もモノ書きなのでよくわかる

その日の論点は、桑田判事のような人は実在するのかといったことに始まり、
現役の法務教官や弁護士など少年問題の専門家が多く、
参考になる意見や情報も多々あったが、
法的な根拠に基づいて少年を拘束して矯正するといった枠組みに批判的な人もいて、できればそれらの意見がもう少し均等に聞けるよう、
「朝まで生テレビ」風に私がコーディネートしたい気持ちにかられた
雑然とした中では「声の大きい男」ばかりが話すことになるのが不満である

約5時間、さあビールをというところで、子どもたちの待つ私は帰宅したが、
フラストレーションを抱えて電車に乗った
非行とは犯罪とは、逸脱とは立ち直りとは何か
心おきなく議論したいが、そういう場と相手に最近恵まれない
また本を書くべきなのだろう

それにしてもその日はI先生の弟さんも参加されていて、
ご兄弟そろって裁判官とは知らなかった
ご両親はどんな教育をされたのか
そっちもけっこう気になってしまう

わが娘の大学受験が真っ最中であるが
本人いたってのんびりムードである
昨夜は自分の好きなモデルの写真を部屋に貼りめぐらせてご満悦だった
私の闘争的DNAはほとんど遺伝しなかったようだ